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zoom RSS 小林多喜二 「スキー」を読む

<<   作成日時 : 2010/05/02 17:16   >>

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画像 小林多喜二のこのほど発見された当選短編小説「スキー」が、小樽文学舎のホームページからダウンロードできると教えてもらい、『市立小樽文学館報』第33号を印刷して読みました。

 「館報」には、小説「スキー」の「発見と紹介の経緯」とともに、「老いた体操教師」発見者の曾根博義日本大学教授の寄稿など興味深い内容も掲載されています。
 曾根博義氏の寄稿文には、「老いた体操教師」が知られている現在、「スキー」は「老いた体操教師」の付録か副産物くらいの価値しかないかもしれない」とあり、また「「老いた体操教師」にも、この「スキー」にも、戦争や軍隊や国家に対する批判や非難は表面に出ていない」など、このような単純な読み方でいいのだろうかと思うところがあります。

 私が「スキー」を読んで感じたのは、短い文章の中にT先生の過去と現在の境遇に多喜二が寄り添いながら、なぜT先生の今日の境遇があるのかを端的に書いていることです。

 「T先生がこゝの学校へ来 るやうになつたのも、校長先生のおなさけであつた。全く腰の自由ならない様な体操教師はなかつたから。それでT先生は一生懸命にあらゆるものに追従しなければならなかつた。スキーもその一つであつた

 「スキーもその一つであった」と書かれているところに、多喜二の隠れた意図が読み取れるように思えます。『先生戦争へ行ったんですか・・・』と、生徒が意外な様子をするのはなぜか、ここにヒントが隠されているように思います。多喜二が逆説的にこの小説を書いているような気がします。
 「廃兵」とか「乞食」だとかと人を蔑み、「日露戦争でやられ」たことへの想像力の無さへの批判が込められているように読めます。
 そのように読むと、なぜ『国民新聞』に投稿したのか、多喜二の意図は何だったのか、興味深い想像力が働きます。

 このことは、全集に収録されている「断稿」と読み比べると一層明らかになるような気がします。「スキーもその一つであった」は、想像力を働かさせようとする意図だと思われてなりません。

 一読後の感想であり、「スキー」執筆当時の、多喜二の思考状況を検証したうえでのものではありませんので、具体的に論じるには、1921年10月前の多喜二にあたる必要があることはいうまでもありません。とりあえず感想です。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
 島村先生の掲示板で知ったのですが、AMAZONでは「組曲虐殺」の注文発送既にを行なっていました。(1260円)
井上ひさし著「夢の痂(かさぶた)」(1365円)のペア注文もPRされていました。
 大阪や奈良の、目利きの良い本屋さんでは、明日からもう準備されているかも。今の若い人達の、携帯・PCでの情報伝播力は凄いですからね。
御影暢雄
2010/05/02 21:39
 民主文学6月号が届いたのですが,ノーマ&宮本対談(変革をめざす文学の可能性をさぐるー多喜二の描いた女性像を中心に」を始め、尾西康充氏「徳富蘆花 謀叛論」、三浦光則氏「小林多喜二と宮本百合子」、稲沢潤子氏「啄木と大逆事件」等、大変EXCITINGな力作が掲載されています。今月号は在庫が無くなるくらい、広く購読されるような予感がします。
 読み出したところですが、ノーマ&宮本対談では「防雪林」にも触れていて、また新しいヒントを教えて頂いたような気分を抱きました。
御影暢雄
2010/05/03 19:49
民主文学6月号に、故南元子さんの「夢、そのとき」の広告が掲載されています。民主主義文学会・奈良支部「鹿笛」サークルのリーダーとして長く貢献されてきましたが、昨年9月逝去されました。関西の文学愛好家の間では,「奈良の南さん」を知っている方が多いと存じます。
 私が例会で南さんにお会い出来たのは数回だけですが、入院先から私の作品に褒める言葉と辛い評価の両方のコメントを頂いたことをよく覚えています。
 「夢、そのとき」刊行を記念して下記の催しが開催されます。

 ( 南元子とその作品を語る会 )
  5月15日(土)午後2時〜4時
  場所 奈良市:中小企業会館4F
     〜近鉄奈良駅東口から東へ1分
  会費 1500円
御影暢雄
2010/05/04 22:00

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