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zoom RSS 『最後に咲く花』/片山 恭一/小学館/「生と死って何だろう」

<<   作成日時 : 2005/12/02 05:43   >>

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 投資ファンドに勤めるフォンドマネージャーの永江くん。社長の藤木は、「われわれの使命は収益を上げることだ。・・・それ以外のことは考えるな」と言い切る。
 アメリカの注目株は、バイオビジネス。永江くんは倫理問題による法的規制問題を懸念する。しかし、社長は倫理問題よりも利益が優先するアメリカでは法的規制の網の目を抜けて社会に定着すると断じる。

 永江くんは二人の女性と付き合っている。健康な女性と、先天的な心臓病をもち余命少ない女性。心臓病の女性との付き合いから、生命や遺伝子、死について考えるようになる。
 そして、資本主義や政治の矛盾について考える。「百姓から年貢を搾り取って、石高を上げている」のと何も変わらないじゃないかと。

 9・11テロとその後のブッシュの戦争をみて、「われわれはアンネ・フランクよりも不幸なのではないか」「彼女は平和や自由を希求することができた」しかし、「この世界で平和を望むことは、戦争の裏返しになってしまう」とアメリカの戦争の矛盾を感じる。
 平和と戦争、企業収益とリストラ、などなど現代社会の矛盾をあらゆる角度から、自分の生活から考える永江くん。そこから生と死の問題をも考える。

 社会の本質を捉えようとする作者の筆はとどまるところがないようにみえる。しかし、しかし、作者は、これらの矛盾を最後は人間の内面の問題に集約してしまう。
 社会に向かって能動的に生きようとする視点がない。これでは、せっかく社会をリアルに描こうとした視点が活かされない。

 余命少ない彼女のために、「私が欲しいのは・・・寝たきりでも、たとえ目をあけなくても、そこにいてほしい」という視点をもちながら、安楽死に手を貸そうと考える。
 人間は、自己のためだけに生きることはできない。他者との関係が切り離せないのが人間だ。そのことを自覚しながら、すべてを内面の問題に集約してしまう著者の視点に苛立ちを感じる。

 大事な問題をつかまえながら、なんとも中途半端な作品に終わっている。残念でならない。なによりも民主主義を諸悪の根源とするような考えには賛成できない。民主主義が正しく機能していないことが問題であり、そのことの理解なしに現状を変えることはできないだろう。

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