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zoom RSS 『夏草』/前田 純敬/高城書房/「少年が見た空襲の実態」

<<   作成日時 : 2005/10/18 05:13   >>

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 1945年3月18日、鹿児島市街が強烈な爆撃を受けた。グラマン戦闘機1200機と伝えられた。中学2年生の慶二が見た戦争の悲惨さを描いた小説が蘇った。

 爆撃に破壊された家屋、炎上する街、瓦礫と化した街、爆風に服をも剥ぎ取られ全裸で横たわる死体、あまりもの悲惨さに目をつぶる慶二。

 5月には、中学二年生にも学校からの「召集」。毎日、竹槍の訓練ばかりが続く。ある日、蛸壺型壕を掘る作業が始まる。アメリカ軍が上陸したときの作戦を説明する教官。
 「いいか、敵の戦車が上陸して来たらお前達はこの手榴弾を持って壕に駆け込み、敵の戦車が頭上に差しかかるまでにこの信管靴底で叩いて眼の前に持っていくのだ」
 「仕事と云うのはそれだけの事だ」と言い放つ。なんという狂気か!人の命を、道具としか考えない事実が特攻だけでなく、中学生にまで押し付けられていたとは!

 この隊がいったん解散される。空襲が緩和されたためだが。鹿児島の市街は廃墟とかし、7月には住む人もいなくなるほどの惨状となる。母親と離れ離れになった慶二。電車もバスも途絶え、一人で無人の焦土を徘徊する。この少年の心細さが痛いほど伝わってくる。

 戦争の惨劇は、広島、長崎の原爆だけではない、空襲を受けた様々なところで繰り返されたものだと訴えたこの小説は注目された。
 この小説は、1949年に発表された。戦後二回目の芥川賞の候補作となるが、惜しくも受賞は逃す。そのため単行本にはならず、読み継がれることがなかった。

 今回の本には、1949年発表の『夏草』と改定された『夏草』の両方が掲載されている。
 「本文にもかなり手がくわえられており、本文自体としては改定稿のほうが完成度が高いと思える」との評が紹介されているが、私には初稿のほうがリアルさや臨場感などで優れているように思われる。
 たしかに、文は改定稿のほうが良いが、読むものの心にストレートに伝わるのは初稿のほうであろう。

 戦後60年、戦争の実態を描いた作品が見直されている。その背景には、きな臭い動きがあるからだろう。
 二度と戦争を起こさない、人の命を道具としての「兵器」にしない、そんな平和な世界を実現するため、私たちは戦争の狂気を忘れてはならないだろう。
 憲法の改悪は、「愛国心」という号令のもとに、狂気の国民製造機になる恐れさえある。憲法は「人類の宝」であることを訴え続けたい。

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