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zoom RSS 『画像のうえの水滴』/旭爪あかね/日本民主主義文学会/「人への温かい思いやりの心が見えてくる」

<<   作成日時 : 2005/10/08 05:50   >>

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 創立40周年記念として出版された『時代の波音』。日本民主主義文学会発行の『民主文学』に1995年から2004年までに収録された作品から厳選された佳作が収録されている。

 まだ全てを読んでいないが、最初に収録された『表彰』は、『時代の波音』という題名にふさわしい作品となっている。1995年当時の変化がじわりと伝わってくる作品である。

 さて、『画像のうえの水滴』は、『稲の旋律』で多喜二・百合子賞を受賞した旭爪あかねの作品。作者の人間への温かい眼差しが見えるような作品である。

 専門学校を卒業しても就職できる者は半数にも満たない。零細企業とはいうものの採用通知が届いた時には喜んだ由岐。しかし、会社での仕事や人間関係に空々しさを感じる。
 ストレスを感じはじめた由岐は、社長が飼っているグッピーの泳ぐ水槽の電源をわざと消し、グッピーを殺してしまう。

 「君には、他人にたいする想像力というものがない」という社長の一言が引き金となって、会社を辞める。人とのコミュニケーションがうまくできないことから、再就職先を探そうにもふんぎりがつかない。
 求人情報誌に新聞配達の広告を見つける。「誰ともすれちがわず、誰とも会話を交わさずに。それならいい。きっと、他人に気をつかって苦しみことはない」と考え、新聞配達の仕事を始める。

 一人でする仕事と思っていた新聞配達にも、人と人との関係が存在する。「なんでもひとりで完璧にできる」と思い始めた頃、高熱を出して新聞配達を休む。
 由岐が休んだ二日間、社員やパートたちが手分けして新聞配達をしてくれたことを知り、「新聞配達が集団作業であることが身にしみた」
 このことを契機に、人と人との関係がわかるようになり、想像力が豊になる。「眼に見える人や物のそのまわりに、眼には入らないさまざまなつらさや必死さがあることを了解」するようになる。

 たった21ページの短編だが、人が生きること、人と人との人間関係、想像力の重要性がつまっている。何よりも、ひきこもりそうになる若者への温かいエールの声が聞こえてくる作品である。
 旭爪あかねに、これからも注目したい。

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