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zoom RSS 『明日の記憶』荻原 浩/「記憶がなくなっていくことに立ち向かう心と人々」

<<   作成日時 : 2005/07/31 17:34   >>

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 著者の作品を読むのは二作目である。『僕たちの戦争』と本書。感心するのは、それぞれの作品が、社会的なテーマに真正面から立ち向かっていることである。

 本書のテーマは、若年性アルツハイマー。50歳になったサラリーマンが、不眠や頭痛、眩暈に襲われる。ストレスによる心身障害かとおもいきや、若年性アルツハイマーと告知される。

 記憶が突然失われるという恐怖、怯え。記憶をつなぎとめようと、必死にメモをとる姿。初期の段階では、それで社会生活は営めるが、それ以後は社会生活にも支障が出る。
 通いなれた道を突然忘れパニックになる、人の名前が思い出せない、相手が誰だかわからなくなる。少しずつ、アルツハイマーとは何かが、読者にもわかるように日々の日常が描かれる。そして、まだまだ理解しようとしない社会の現実も。

 苦しんでいるのは本人だけではない。周りの人も苦しんでいることに本人は気がまわらない。ここには、本人だけの問題ではなく、家族や社会の問題でもあることを、みんなが知ることの必要性が訴えられている。

 『博士の愛した数式』がベストセラーになり、博士は愛すべき人物として描かれている。しかし、アルツハイマーは記憶だけでなく、人格さえ失われていくようである。
 治療法の解明が進められているが、まだまだ治療法は確立していない。そのもとで、人々が支えあう、社会的な人間環境が大切であろう。そんなことを考えさせてくれる作品である。

 記憶が失われ、人格が変わっても、人間は人間である。脳死が人の死とされる現代、記憶死をも人の死と考えるような論調があるのなら賛成できない。脳死、それもやはり人の死ではないと考える。
 著者は、はっきりとは書いていないが、どんな状況でも人間に変わりないことを描こうとしている。
美しい自然の中を歩く姿の描写は、人間への声援歌のように聞こえてきた。

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