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zoom RSS 『世界文学を読みほどく』/池澤 夏樹/新潮社/「世界文学から世界へ」

<<   作成日時 : 2005/06/30 02:10   >>

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 世界文学と言ってもその範囲は広い。一冊の本で世界文学すべてを語ることは不可能であろう。 本書は、著者が京都大学で行った7日間14回の連続講義をまとめたものである。

 その10作品のうち、スタンダール『バルムの僧院』、トルストイ『アンナ・カレーニナ』、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』、メルヴィル『白鯨』、トウェイン『ハックルベリ・フィンの冒険』、ガルシア=マルケス『百年の孤独』の6作品は既読の作品であった。
 それだけに小説の「場」の説明などがよくわかり、こんな読み方もあったのかという発見もあった。また当然かもしれないが、この読み方は違うのではないかという異見もあった。

 ジョイス『ユリシーズ』、マン『魔の山』、フォークナー『アブサロム・アブサロム!』、ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』は未読の作品であり、よきガイドとして役にたった。

 さて、本書は作品を読み解くだけでなく、そこには世界観の問題が常に提供されている。作品が書かれた時代を踏まえながら、現代の視点からどう読み解くのかという著者の視点も示されている。
 9・11テロの問題をどう見てどう考えるかの著者の意見もふんだんに述べられ興味深く読むことができた。

 ただ、「文学と政治」に関する認識には同意できない。ところが、著者が「文学と政治」について語っていることには矛盾が見受けられる。
 著者自身はきっと気づいていないのだろうけれど、「文学と政治」には切り離せない「場」もあるし、題材もある。著者もそれは否定しない。だから『静かな大地』では、アイヌの問題をふれずにこの小説を書くことは出来ない、と語っている。

 なのに「文学と政治」の分離にこだわりすぎている。当然、無理にくっつければ不自然になる。では、無理に離せばどうなるのか。これも不自然になる。
 文学のテーマをどこに置くかによって、政治が中心になる場合もあれば、政治がそれほど関係なくなる場合もある。ただ、人が生きるというテーマをリアルに描こうとするならば、政治の問題を避け続けることは不可能であろう。

 『静かな大地』の最後はあれしかなかった、と著者は言うがそれにも異論はある。ただ、著者の祖先のたどった結末を描いたというのであれば、仕方がないのだが・・・。

2005-06-07

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