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zoom RSS 『静かな大地』/池澤夏樹/朝日新聞社/「人が生きるとは・・・」

<<   作成日時 : 2005/05/21 08:42   >>

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 この作品のレビューは、おろそかには書けないと思う。とても重要なテーマが扱われている。

 本書は、維新後の明治四年に淡路島から北海道に入植した人の物語である。和人は維新前の松前藩支配の時代から、北海道のアイヌに対し力と陰謀で抑圧を続けてきた。維新後、それがどうなったのか。

 主人公である宗形三郎は、アイヌとの友情、「天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず」との福沢諭吉の書物、「少年よ大志をいだけ」で有名なクラーク教授の影響も受けながら、抑圧されたアイヌの人々の立場に立って生きることを決意する。
 そして、和人からの信頼も得、アイヌの人々からの信頼も得る。しかし、アイヌびいきの三郎に対する風当たりは、いろいろな側面から増すことになる。

 作品の中で、時々示されるアイヌの話には、思わず頷いてしまう。「天地はかぎりないと思っていたのに、その天地は今日からは和人のものになったという。天子さまがそう決めたという。山やら川やらに持ち主がいるのか。あの広い空に持ち主がいるのか」

 和人は、「刀と鉄砲にものを言わせて無理難題をふっかけた」
 アイヌは、「もめごとはチャランケ(話し合い)で決める。何日でも話し合う」
 和人は、「初めから決めておいて、武器を使って従わせる。アイヌには何の相談もしない」
 これらのアイヌの主張には、説得力がある。

 しかし、日本の資本主義化、軍国主義化の強まるもとで、三郎がアイヌと力を併せて作った牧場へ、資本という魔手が圧力を加えてきた。それでも、アイヌのために抵抗をし続けた三郎であったが・・・。

 最後の展開には愕然とした。これほど読者を惹きつけておいて、主人公は自害した。私は自殺する人間が大嫌いだ。どんな苦しみや悲しみにも立ち向かう人間が好きだ。
 もちろん自殺するにはするだけの理由があるだろう。しかし、現実に立ち向かって欲しい。私はそんな人間でいたいし、みんなにもそうあってほしい。その力を皆で合わすことができれば、よい世の中はきっと来るはずだ。

 この作品の最後は私を裏切った。しかし、読んで欲しいと思う。この作品のテーマはとても大事だと思うからである。

2003-10-09 REVIEW JAPAN 投稿

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