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zoom RSS 文学から得ることのできるエネルギーの深部に迫る『反貧困の文学』

<<   作成日時 : 2010/09/20 11:29   >>

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画像 いまこそ現状への不満をあわれな人身御供にぶつける「負のエネルギー」に流されることをやめ、連帯と共生の「正(プラス)のエネルギー」を高めなければなりません。「生贄の政治」に決別し、社会的連帯にもとづく「共生の政治」に転換しなければなりません。
 夏目漱石の時代から日本社会の底で脈々と受けつがれてきた「反貧困の文学」の系譜は、この「正のエネルギー」に大きく貢献すると思います。


 これは北村隆志さんが『反貧困の文学』の終章で書いた言葉です。この言葉には社会をしっかり見つめながら、文学の果たす役割を考えたその一端があらわされています。また、あとがきには、次のように書かれています。

 『蟹工船』ブームのキーワードが悲惨な「労働者階級の状態」から、たたかいへの「連帯と行動」へ急速に変化したことを述べました。書き上げて驚いたことに、本書にも同じ流れが見てとれます。取り上げた作品を系譜としてたどれば、「労働者の従属」や「自己責任論」から、権利と生活のためのたたかいへと、テーマが大きく深化発展しています。

 北村さんは「書き上げて驚いたことに」と書いていますが、本書を通読すればわかるように、北村さんがしっかりと今日の社会の問題点を捉え、時には「歯がゆい思いを抑えられ」ないといいながら、変革の意志を持ち続けているがゆえにこそ書くことのできた結晶作だと思います。そして、ぜひ多くの人に薦めたい作品に仕上がっています。

 小林多喜二が生き描いた「終わった歴史」は世紀を超えて繰り返されているのに、私たちは現状への虚無感を抱えて、彼らのようには立ち上がれないと思っている。この生き場のない感覚をどうしたらよいのだろうか。
 「蟹工船」エッセーコンテスト大賞の山口さなえの言葉がよみがえってきます。私たちは彼女・彼らたちにどう答えればよいのでしょうか。もちろん、この問いに対するひとつだけの「正解」というものはありません。しかし、彼女・彼らの問いを受け止め、ともに考えることはできます。そして、立ち上がれる人もいます。

 その「立ち上がれる」エネルギーを何から得るのか、その「正解」もひとつではありません。私は、若い頃からそのひとつに文学があると思ってきました。でも、どの文学作品からでもそんなエネルギーを得ることができるわけではありません。そんな作品選びを助けるのが、良き文芸評論などです。
 北村さんは、その評論のあり方について、右遠俊郎さんの言葉を引用しています。「作品の生命を拾い上げることが批評の生命でなければならない」と。
 では、作品の「生命」とは何か、その答えは文言としては書かれてはいません。しかし、収録作品をひとつひとつ切り離すことなく、それぞれの作品から「過去、現在、未来」をつなぐ「生命」を北村さんは書き得ています。
 それは、北村さん自身が書いているように「『蟹工船』ブームのキーワードが悲惨な「労働者階級の状態」から、たたかいへの「連帯と行動」へ急速に変化したことを述べました。書き上げて驚いたことに、本書にも同じ流れが見てとれ」ることにあらわれています。

 もう少し具体的内容にふれたいのですが、というか、もっともっと書きたいのですが、次の仕事に追われていますので、本日はここまでとします。ぜひ、みなさん、読んでいただきたいと思います。そして、連帯と共生の「正のエネルギー」をみんなでつなぎあって、社会的連帯にもとづく「人間の自由な発展」を保障する「真に人間らしい生活」を勝ち取るために力をあわせましょう。
 そのためにも、現状とその本質をもっともっと「可視化」し、「目に見えない英雄」たちがそれこそ寸暇を惜しんでたたかっている運動の姿も「可視化」させることも重要です。本書はその一助になるかもしれません。

 さて、最後にひつだけ北村さんへ。「労働者と資本家の違いはなんなのか」との問いに困った様子が微笑ましく書かれています。「社長だって働いているじゃないですか」に立ち往生して・・・。その後、この宿題への「解答」的ものが書かれていますが、何か足りませんね。
 「社長」が働いて作ったものは「社長」のモノで、「労働者」が働いて作ったものも「社長」のモノ、です。
 生産手段の所有関係だけでなく、生産物の所有関係も説明すると分かりやすいかもしれませんね。「労働」からの疎外を考えると、もう少しわかりやすく説明できると思いますが、いかがでしょうか。

 それにしても優れた作品に仕上がっていると思います。引き続く活躍を期待しています。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
 金曜日に3冊届いて、読まないうちに10.30文学講演会実行委員会で紹介したら全て買って頂きました。それで、追加注文の予定です。
 タイムリーな著作が出たと思います。
 
御影暢雄
2010/09/20 20:56
 先ほど、大阪地検特捜部の検事が「証拠隠滅」で逮捕されました。郵便不正事件捜査で指揮をとる地位に合ったエース級人物と報道されています。公正であるべき司直の幹部が何ということをしていたのか!厚生労働省局長を有罪とすべく、FDを書き換えていたというのですが、検察が自らのシナリオに合わせて証拠を改ざんするとは、日本の検察・公権力の威信を大きく揺るがすものです。

 学生時代、帰省中に大阪府学連のデモに友情参加していた時、大手前近くで機動隊がデモを指揮する学生にわざと肩をぶっつけ、学生が抗議して口論となりました。すると通行人だと思っていた数人の私服刑事が、たちまち駆けつけてその学生の両脇を抑えにかかりました。デモ参加者が幾重にも取り囲んで抗議すると、機動隊も私服刑事も連行をあきらめ、デモは続行されました。機動隊と刑事はその学生活動家をマークして逮捕したかったのです。

 検察は何らかの政治的な意図があって、厚生労働省局長を陥れたかったようです。検察の背後に黒い政治的陰謀の臭いがします。
御影暢雄
2010/09/21 22:47
 昔、会社の先輩で警察勤務の経験のある人が言っていました。
「おい、御影君。公安は本気で君を逮捕しようと思えば、24時間、尾行監視して、ちょっとした微罪でも任意同行とか現行犯逮捕することができるのだ。車の運転の際も、一旦停止違反とかスピード違反とか、引っ掛けやすいんだ。」

 冤罪や騨圧が無くならないのは、「特高」の時代からの体質が変わっていない、民主主義が大事にされていないから
でしょうか。日本の警官は、欧米の警察では認められている団結権(組合を組織する)が認められていません。そのことはもっと注目されてよいのではと考えています。
御影暢雄
2010/09/23 21:25

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