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zoom RSS ちょっと待った! 臓器移植法案

<<   作成日時 : 2009/06/06 07:59   >>

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 「移植を一日も早くと待ち望む子どもらの小さい命を思うと何とか道を開きたい。しかし、命の問題を需要と供給のバランスで論じることはできません

 昨日の衆議院厚生労働委員会での、高橋ちづ子議員の意見です。この「命の問題を需要と供給のバランスで論じることはできません」との主張は極めて重要です。今日の臓器移植法案成立を急ぐ論には、「人の死を待ち望む」ことにさえなりかねない論調さえあります。これは絶対に許されません。
 人の「死」を他人の都合と尺度だけで考えることは戒めるべきです。「脳死」については幾度も発信したことがありますが、竹内章郎『いのちの平等論』への書評を転載します。

「人の死をあてにする社会になってないか?!」
未来自由
2005/09/24 6:56:08

 著者の本を読むのは、これで2冊目である。その著書は『平等論哲学への道程』、題からも発想できるように、著者は「平等論」を主に研究している。その著者が平等論の観点から「生命倫理」に踏み込んだ論文をまとめた。
 脳死、安楽死、出生前診断、遺伝子問題、生命操作など「生命」にかかわる問題が、十分な社会的議論や理解のないもとで具体化されている。著者は、そこに潜む差別と排除の論理を告発する。副題が「現代の優生思想に抗して」とあり、差別を前提とした優生思想の誤りを徹底的に指摘している。

 「いのち」がテーマであるように、「死」「脳死」「障害をもつ人」の論稿に著者の主張が最も凝固しているように見受けられる。
 「脳死」問題では、現在の「脳死」が「人の死」の議論を十分にしないままに、臓器移植を優先した議論になっている現実を告発している。多くの点に共感できる。
 著者は「臓器移植法を通じて、人の死をあてにする社会が、現在の能力主義社会を陵駕する勢いで進行しかねない」という。「脳死」者よりも「臓器移植を待つ人」を優位とする考えに対する告発である。

 かつて柳田邦男著『脳治療革命の朝』の書評を書いたところ、多くの反響があった。その書には「脳低温療法」という画期的な救急救命の現場と、脳死寸前からの奇跡の生還の実態が描かれている。この画期的な治療法に関する記述は、「脳死」を是とする考えに再考を促す。
 「臓器移植法が1997年まで成立しなかった日本であるからこそ、脳低温療法が開発・実用化され、これが従来の回復不可能点を、はるかに死に近い段階まで高め、事実上臨死状態患者の回復に道を拓いた」との逆説的説明は真であろう。

 著者は、「障害者」の問題と社会の認識、社会環境整備の問題にも論及する。「障害者」と言うとき、そこに差別や優位性が含まれていないか。正しくは「障害をもつ人」であることの説明に説得力を感じた。
 その他、「いのち」「平等」に関する貴重な論稿が数多く含まれ、参考になる論の紹介も多い。
 しかし、「いのち」の始まりをどこに置くかを「社会的・文化的内容が内在せざるをえない」と言った表現だけで留まっているなど、難解かつ納得できない点がいくつか見受けられた。
 「いのち」と「平等」を考えるうえで、いくつかの問題を提起する書として、一読に値するだろう。

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