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zoom RSS 『生きさせる思想』 生きることの肯定と連帯の可能性

<<   作成日時 : 2008/12/23 17:27   >>

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画像 雨宮処凛さんと小森陽一さんの一対一の対談をまとめた『生きさせる思想』(新日本出版社)を読みました。雨宮処凛さんの経歴などはこれまでもいくつかの著書で語っているので、それだけに限れば「知っている」ことがほとんどかもしれません。
 ところが、小森陽一さんの「問い」や共に考えようとする姿勢は、そのことを現代社会の矛盾の現われとして紐解いていこうとする方向に一貫しています。そこに、「人間の尊厳」と踏みにじろうとするものへの憤りを感じました。それが、「生きる」「生きさせる」思想という言葉に要約されているのですが、ここで思い起こすのは、哲学者の岩崎允胤さんが常々「人間とその生の尊厳」と言っていることです。その岩崎允胤さんがいう「人間とその生の尊厳」という表現へのこだわりが、本書には内容的に示されていると感じました。

 また、湯浅誠さんが「反貧困」でも書いている「五重の排除」を雨宮処凛さんの話から具体的に示して行こうとする小森陽一さんの聞き上手、進行上手には舌を巻きます。対談者がお互いに確認もしながら、このような対談から紐解こうとする手法はなかなか思い通りにはいかないものですが、それを見事にやってしまっているから驚きです。
 小森陽一さんとは面識も何もないのですが、いやー、こんな人だったのかと、これまで何冊かの著書を読んでいて気づかなかった姿を知ることができました。

 そして、やはり「人間の尊厳」「生」の問題を熱くまとめています。今日の資本主義は、「人間の尊厳にかかわるような領域までもが、権力的な攻撃の対象になってしまう」「どんなに理不尽な要求であっても、企業が要求してくることを、とにかくこなしていかないと、生きていくための最低限の給与も支払われないというところに置かれてしまっている」というくだりにくると、本当に現実の社会への怒りが共に沸きあがってきます。
 その中で、今の日本社会が「条件付」で生存が肯定される社会になってしまって、「無条件の生存の肯定」を求める主張と運動が必要な社会になっていることへの告発がされています。
 雨宮処凛さんが「生存よりも市場原理が優先されてきたからこそ、働いても生活していけないという状況が現われてきたわけですから、まず生存をいちばん中心に置くという考え方を据えてほしいです」という主張に共感します。

 「無条件の生存の肯定」という考え方と深く結びついた「同志」的関係、「目の前に死にそうな人がいたら、助けるしかない」という人間が人間である基本ともいうべき行動原理、そうした「生存」を中心に置く考えたかの必要性が繰り返し強調されています。そして、最後に小森陽一さんが、「思考する現場」に戻ること、「同志」だから可能になる実践というキーワードを記していることは、今後の「現場」での「実践」に重要なヒントを投げかけています。

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コメント(7件)

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「目の前に死にそうな人がいたら、助けるしかない」という思いと実践はまさしく、小林多喜二が体現した思想ですね。ついつい目をそむけたくなる現実。逃げることはしたくないですね。


もうすぐ、クリスマス。貧乏人の児童のところにこそ、せいいっぱいのプレゼントをもってサンタは行きたいと思います。
そして多喜二の「万歳々々」を恋人たちに、「十二月二十何日かのことを」父や母にとどけたいと思います。





                      
佐藤
2008/12/23 18:37
 多喜二はオスカー・ワイルド「幸福な王子(THE HAPPY PRINCE)」を読んでいたでしょうか?私の頭の中では、多喜二と王子に、宮沢賢治はイメージが重なっているのですが。
御影暢雄
2008/12/24 17:50
東京・六本木の俳優座が、来年創立65周年を迎える。
その記念として「蟹工船」を上演することがこのほど決まった。


                  

脚本・演出は、安川修一氏。
2008年5月14日〜24日までの11日間の開催。
佐藤
2008/12/24 19:21
来年1月24日、朝日カルチャーセンターで小森さんとの対談「なぜ今「蟹工船」か」をやります。

http://www.asahiculture-shinjuku.com/LES/detail.asp?CNO=32695&userflg=0

あと、ブログのほうで『ロスジェネ』と『POSSE』のレビューをしましたのでご覧頂けると幸い。

http://blog.livedoor.jp/insectshima/archives/51821015.html
Prof. Shima
2008/12/25 00:04
 村田秀雄のヒット曲集CDに、人生劇場・王将とともに「蟹工船」という曲が入っています。YOU TUBEで歌は聞けるのですが、多喜二の蟹工船との関係はどうでしょうかね。EP盤(ドーナツ盤)がヤフーオークションにでてますね。
御影暢雄
2008/12/25 21:27
村田秀雄「蟹工船」:作詞 星野哲郎 作曲 遠藤 実

 ”・・・地獄周りの蟹工船だ
     赤い夕日よ 呼ぶじゃない
     どっこい どっこい
     覚悟はできている    ”(三番の一部)

 という歌なので、多喜二の「蟹工船」も意識されて いますが、労働者の団結を歌ったものではなく、厳しい男の職場としての一般的な蟹工船での仕事を、抒情的に歌った曲のようです。

      
御影暢雄
2008/12/25 21:40
「目の前に死にそうな人がいたら、助けるしかない」、しかしその目の前にいる人だけを助けても問題は解決しない。だから社会全体の変革を求めたのが多喜二ですね。
いまそんな運動になりつつあります。これが何処まで大きな運動になるかは重要ですね。

島村先生と小森陽一さんの対談、素晴らしい企画ですね。小森さんの集団=グループの読みは重要ですね。
『ロスジェネ』、やっとゲットしました。明日でも読みます。『POSSE』は大阪の本屋に売っていませんでした。ネット注文しかないかな。

今日、本屋に寄ったら、『蟹工船』の山積みに新作映画決定のポップで平積みになっていました。これは大阪版の宣伝ですかね。
未来
2008/12/27 16:57

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