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zoom RSS ”「「政治」と「文学」」を転位する” 『國文學』再読プロレタリア文学特集

<<   作成日時 : 2008/12/20 17:07   >>

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 『國文學』1月号が再読プロレタリア文学を特集しています。個々の評価は別にして、こうした雑誌にプロレタリア文学が特集されること自体が現代の反映でしょう。
 さて、中でも、島村先生の”「「政治」と「文学」を転位する”について少々感想を記しておきます。

画像 島村先生は、2003年に「岩波講座 文学10 政治への挑戦」の中で、「二〇世紀の夢 ―日本のマルクス主義と文学」と題する「政治」と「文学」に関わる一文を書いています。そこでは、「マルクス主義思想に関わる壮大な夢ともいうべき営みがあった」「それは「夢」でありながら、あきらかに「現実」に力をもち、そこに関わる思想としてそれぞれの時期に役割を果たしてきたのである」として、「1920年代までのきわめて限定された一時期」についての考察をおこない、その後の展開は今後の課題と書かれています。

 いま、この論稿の詳細の紹介はしませんが、「これらは総じて文学と思想という文化面での問題であったとともに、歴史的・政治的動向とも密接不可分に結びついてきた。これまでこうした問題は、当事者たちの政治的立場、その利害と深く関わってきたため、客観的に論じられてこなかったという反省から、一旦はそうした直接の政治的関係とは切り離した角度から研究すべきであるとする主張もあった。著者もかつてそのような主張に与した一人である。もちろん、過去にあったような、個々の党派的イデオロギーに密着した観点をとれというものではないが、しかし現在の時点で二〇世紀を振り返ってみると、このマルクス主義という考え方に賭けられた文学的「夢」の大きさや理念としての射程の広さへの再認識が求められるのではないだろうか」と書いているところは重要な視点だと思います。
 「政治」と「文学」に関わる論点もそうなのですが、私は「射程の広さへの再認識」の必要性を問うた視点に注目していました。いままさに『國文學』誌上でプロレタリア文学特集が組まれる現実があるのは、「射程の広さ」ゆえだと思います。

画像 ここで、”「「政治」と「文学」」を転位する”に戻ると、島村先生は、「「政治」と「文学」を切り離し、両者の密接な関係を無視してかかる態度は、それ自体きわめて「政治」的なものといわざるを得ない。一方、この枠組みが抱えている歴史的意味と制約を十分認識することがないままに、両者を直結させるのも、議論を構築していく上で責任あるスタンスであるとはいえない」として、「政治」と「文学」を今日的に「脱臼/転位」することの意義についてふれています。

 そのうえで、「芸術的価値」論争を素材に取り扱っています。この時期の「文学論争」について、まとめられた本が何種類か過去に出版されていますが、私などが読んでも極めて難解な論述がされていて、とっつきにくい点もあり深く読んだことはないのですが、今回の島村先生の論稿はキーワードや問題点が整理されていて、ああこういうことだったのかと思うところもあり、とても参考になりました。
 詳細は、本誌を読んで欲しいのですが、島村先生の最後のまとめは今日的に極めてわかりやすいものとなっています。
 「蟹工船」に共感する世代が異議の声をあげようとしている今日こそ、「政治」と「文学」という枠組みは、単純な対立物としてではなく「政治は文学であり、文学は政治である」という構成に転位することが求められているというべきであろう。

 私にとってそもそも「政治」と「文学」は対立物などではないのですが、歴史的にも現代的にも「対立物」にしようとする「きわめて「政治」的なもの」があるのも現実です。また島村先生のいう「責任あるスタンス」の問題もまだ克服すべき点がありそうです。だからこそ、いま「政治」と「文学」について正面から語ることは大切だと思います。

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして。
安と申します。

突然失礼いたします。

犯罪組織は、世界どこの国でもあります。
しかし、
世界どこの国でもある犯罪組織とは違って、
一部の政治家、裁判官、警官、全国役所の一部役人、医師、先生、
PTAの一部役員、町会の一部役員、市民団体を始め各種団体の人、
芸能人、システムエンジニア、実業家、ヤクザなどが組織のメンバーになって、
ITという最先端技術を使い、
裏で日本の社会を支配している組織が日本にいるとしたら信じますか?

この組織の掲示板には「世界征服」「助成金」などが書いてあり、
私がアクセスした直後になくなりました。

詳細なことは、
お手数をかけて申し訳ございませんが、
http://blog.yahoo.co.jp/ansund59 をご覧ください。

偽警官が警察署を自由に出入りし、偽裁判官が裁判所で法の悪用をし判決をし、
裁判記録の改ざんもあり(最高裁判所まで)

an
2008/12/20 19:24
国文学、未来さんアマゾンで購入なさったんですね!!
わたしもそうしよう〜
めい
2008/12/20 22:01
なかなか出回っていない雑誌を入手されて、紹介していただき、ありがとうございます。

「政治」と「文学」については、これまでもたびたび、機会あるたびに考えを巡らせてきましたが、この間「九条の会」と多喜二関連の仕事とを続けてきた中で、大きくその二つの関係についての「転位」ということを構想しています。それは加藤周一さんの提起した「言葉と戦車」ということをどう解釈し、活かしていくかということに関わることだと考えています。

このことはまた、「政治」の究極の目標とそこにいたる過程との間に想定される矛盾の解決のために、どういう論理が構想できるかという、実践上の大きな問題にもかかわってきます。「権力」と、それに対する「抵抗」の形とがどうあるべきか。またそこに払われることが不可避と想定されてきたような「犠牲」は、果たしてほんとうに不可避と考えられるべきなのか、といったことです。

その結論を出すまでには、今しばらく考察の時間が必要かと思いますが、なんとか近いうちに一つの大きな結論に結び付けたいと思っています。うまくいくといいんですが。
Prof. Shima
2008/12/21 00:07
めいさん
アマゾンでゲットしました。早く買わないとなくなりますよ。たぶん印刷部数も少ないでしょうから。

島村先生の考察のまとめを楽しみにしています。
「実践上の大きな問題にもかかわって」くるとの認識は重要だと思います。

目的と手段が逆さまになった時、矛盾が一番現われると思います。これが意外と陥りやすい問題かもしれません。
未来
2008/12/21 07:33
今、発売中の雑誌「GOETHE(ゲーテ)2月号」(表紙は清原和博)に”特集 新書・文庫売上ランキング”に、新潮社文庫「蟹工船」が取り上げられ、流行語大賞の表彰式に出席された長谷川さんのコメントも紹介されています。本屋さんでご覧ください。
御影暢雄
2008/12/23 20:31

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