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zoom RSS 『桜島・日の果て・幻化』/梅崎 春生/講談社/「生きること死ぬこと、極限状態の深層心理」

<<   作成日時 : 2005/12/04 06:11   >>

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 戦争文学なのか、戦後文学なのか、とかく分類したがる人の中で、『桜島』に対する表現が違う。そんなことより、『桜島』が何を描こうとしたのかを読むことが必要だ。

 アメリカ軍の沖縄上陸、沖縄戦の悲劇、そんな状態が報告される鹿児島「桜島」にある基地。本土上陸が想像される事態の中で、召集された兵たちは、何を考えていたのか。
 ただ、国のためにと特攻に志願させられた少年兵。その存在を知り、死について考える兵たち。「美しく死ぬ、美しく死にたい、これは感傷に過ぎんね」と言う兵もいる。

 上官は、玉砕まじかという状態の下でも、理由なき制裁を繰り返す。そんな軍人に主人公は異様さを感じる。
 「あの眼だ」「軍人以外の人間には絶対見られない、あの不気味なまなざしは何だろう。奥底にマニアックな光をたたえている。常人の眼ではない。変質者の瞳だ」「私の軍隊生活で、学び取った貴重な私の直感だ」とそんな軍人を見る主人公にも怯えがある。

 軍隊生活が生み出す深層心理を描こうとする『桜島』。意志も情緒もない人間が生み出される軍隊とは何か、戦争とは何かをこうした内面から描いたものは少ない。
 発表後、一躍「戦後文学」の世代として注目された著者。戦後60年後、再び注目される『桜島』。何ゆえか。この小説には戦争の狂気が潜んでいるからだろう。

 しかし、私には一度で読解することができなかった。『日の果て』『幻化』を読み終え、再び『桜島』を読んで、そこで初めて『桜島』で著者が描こうとしたことがわかったような気がした。

 戦争に翻弄され、死を見つめた人間の生命感。哀しいばかりの深層心理の奥底、そこには恐怖さえ感じてしまう。それが戦争が生み出したものであることを忘れてはならない。
 戦後文学というわけにはいかぬだろう。やはり戦争文学というほうがふさわしいだろう。それにしても、こんな哀しみを二度と繰り返してはならないと思うのが普通ではないだろうか。なのに「正しい戦争」だったなどという人がいる。これほど哀しいことはない。
 もう誰にも、こんな哀しい想いをさせてはならない。なぜ、みんながそう思わないのだろうか。ほんとうに哀しくなってきた。

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