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zoom RSS 『小林多喜二を売った男』/くらせ・みきお/白順社/「特高警察によるスパイの真相に迫る」

<<   作成日時 : 2005/11/13 15:40   >>

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 『小林多喜二を売った男』という題に関心を引かれた。小林多喜二が特高警察のスパイの手引きにより逮捕され、その日のうちに虐殺されたことは有名である。

 小林多喜二を売ったスパイ三舩留吉の名も、小林多喜二の名と共に語られてきた。三舩留吉がスパイとして共産党の中央役員にまで上り詰め、その立場から幾多の党員を特高に売り渡してきた。
 なぜ、これほどまでに多くの党員を売り渡しながら、党の中央役員の地位にいたのか、当時の状況を推測するしかない現在では不思議としかいいようがない。

 三舩留吉は、スパイ容疑がかかりそうになると、自らも逮捕されるという演出をしている。特高警察との連携振りが、スパイ発覚を遅らせる原因となったのだろうか。スパイ発覚後の、三舩留吉の全貌はこれまで謎とされてきたようである。松本清張の『昭和史発掘』にその名を明かされながら、今日まで謎とされていたという。
 本書の追跡を読む限りでは、スパイ発覚後に婿養子となり名を変えて別人として生きたとある。家族にもスパイ時代のことをいっさい話さず、自らの過去さえ語ることがなかったという。

 ところで、本書ではスパイ三舩留吉の追跡だけでなく、小林多喜二拷問・虐殺の指南役・中川成夫や「特高の神様」「スパイ使いの名手」と呼ばれた毛利基などの特高のその後についても記録されている。毛利基は、スパイMや三舩留吉をはじめとする有力スパイを駆使し、共産党壊滅の功労者として、歴史にその悪名を遺している。この毛利基も特高時代のスパイについては死ぬまで黙秘を貫いたという。

 十数年前に、森村誠一などによる『日本の暗黒』を読んで、特高警察の実態とそれを許した天皇制政府に憤りを感じた。本書を読んで、あらためて特高警察の非人間性に怒りを感じた。
 本書の著者は、特高警察の非人間性を許すことはできないと語っている。しかし、特高警察とそのスパイ追及のみが焦点となっており、治安維持法という法をつくった天皇制政府にたいする視点があまり述べられていない気がする。
 本書だけを読めば、特高警察というものの非人間性だけが問題であったと理解されかねない危惧を感じる。特高の非人間性を許す土壌であった天皇制政府の責任追及の視点がもっと必要なのではないのか、そんな読後感を感じた。

2004-08-30

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ニシザワショッパーズ・春近大橋店を、約10年勤務して退社しました。
ニシザワグループ・褒章おめでとう、教科書販売の栄誉。
紀宮様、ご成婚おめでとうございます。
経済社会の中でよりいっそうの、規制緩和を希望します。(ダイエー・政治)
国税徴収法を改正して、みんな公的資金を投入できるようにしよう。
自由民主党の、票田政策じゃないか。
票田政策
2005/11/15 23:41

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