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zoom RSS 『懐郷』/熊谷 達也/新潮社/「昭和30年代の時の刻みを描く7つの物語」

<<   作成日時 : 2005/10/16 19:23   >>

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 昭和30年代とはどんな時代だったのか。振り返れば激変の時代だったのかもしれない。35年生まれの私には振り返るすべはないが、子供時代の記憶からも「そうだったんだ」という情景が蘇ってくる。

 別々の物語でありながら、7つの物語から時代をうかがいしることができる。そして、とても素晴らしいひとつの物語として読めるから不思議である。

 海女とその船を操る夫を描く『磯笛の島』、100年後を見据えた植林の世界を描く『オヨネン婆の島』、土地があれば耕作するのが当たり前とされた田舎を描く『お狐さま』、出稼ぎと農家の嫁を描いた『鈍行列車の女』、身を売るしか生きる術を見出せない女性を描いた『X橋にガール』、集団就職を描いた『鈍色の卵たち』。
 こんな見方をすれば、労働と人間の生の問題が浮かび上がってくる。

 ところが、これは一つの試みであって、7つの物語には、いつくもの共通点と特殊性がある。離島と町、農村と都市、米軍基地のある街とその撤収後の街、風習と文明、様々なものが複雑に絡まっている。

 それぞれの物語に登場する女性が、時代の変化を刻みながら生きていく。時には、その変化を与える側にある。
 7つの物語を読み終えれば、そんな一つの物語が出来上がってくる。とても言葉では言い表せない、そんな小説集である。

 『邂逅の森』で惹かれた著者の魅力が存分に発揮されているのかもしれない。これらの作品には、懸命に生きる人間へのエールが聞こえてくるからだろう。

 ただ、『X橋にガール』に女性の未来が見えないこと。『鈍色の卵たち』で約束違反の会社への憤りはあるものの、その社会的解決を示すのではなく、我慢して働くことを止むなしとする中途半端な終わり方に不満を感じた。

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内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
大道芸観覧レポートという写真ブログをつくっています。
昭和30年代のテレビの広告もとりあげました。
よかったら、寄ってみてください。

http://blogs.yahoo.co.jp/kemukemu23611
kemukemu
2006/12/23 21:19

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