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zoom RSS 『邂逅の森』/熊谷達也/文藝春秋/「久々に重厚な小説を読んだ!」

<<   作成日時 : 2005/10/13 05:20   >>

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 綿密な調査により、マタギの仕事と自然観、そして明治維新以降の経済と戦争、その中で時には流されて生きる人間の弱さと逞しさを見事に描いている。

 何よりも感心したのは、マタギという仕事の自然観。そして自然の獣を相手にするマタギの協働。一頭の熊を仕留めるために繰り広げられる獣と人間との智恵の比べ。そして人間の協働の素晴らしさを見事に描いている。

 自然の一部である人間。協働することによって、自然と格闘しながらも、それぞれの能力に基づいた役割を果たし、一つの仕事をやり遂げる、そんなマタギの世界。
 しかし人間社会の貪欲さは、マタギの世界の掟とは相容れない。身分や階級の違いで、生まれながらに差異が生じる。恋愛さえまでもが身分に翻弄される。

 マタギとして生きようとする青年が、身分違いの女性を愛することにより、その生き方さえも否定される。理不尽にも、鉱山の採鉱夫とされることに憤りながらも、その運命を受け入れる青年。なんなんだこれは!と叫ばずにはいられない憤怒に襲われる。

 自然の摂理に反した人間の欲や身分社会は、結局は自然を破壊し、社会に歪を生み出す。そんな社会に警告を発する作品であった。
 貧しさゆえに売られていく女性の問題を描くことによって、社会の矛盾がより明確にされている。そして、その犠牲になった女性を描くことにより懸命に生きる人々の現実が描かれている。

 愛とは何か?本当に人を愛するとはどういうことか?随所に涙する話が盛り込まれている。しかし、たんなる恋愛小説ではない。人間が自然と社会の中でいかに生きるかを問うた小説だ。

 最後に一言。性の描写が少し多い気がした。ストーリーの流れから厭らしさは感じなかったが・・・。

2004-07-31

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