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zoom RSS 『オリオンの哀しみ』/氷上恵介/皓星社/「生きているうちに思い切り解放感を」

<<   作成日時 : 2005/10/10 05:35   >>

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 『ハンセン病文学全集』第2巻収録作品。療養所の非人間性と、その中で人間らしく生きたいと願う者の心境が巧みに描かれている。

 「明治の末、浮浪らい患者を収容し撲滅する目的で建てられた療養所」「らい予防法、懲戒検束規定の盾にかくれ、患者を人間として対等に接することなく、冷たい目で見つめられている」
 「園当局は患者にとって全知全能の神であり、それが法律であった。神は一段と高い所に位し、患者を下の座に着かせ、法律はおごそかに個々の意思を奪った」

 療養所の洗濯場で働く患者たちには、まともな長靴さえ支給されない。水があふれる洗濯場では、冬でも穴の開いた長靴を履き作業させられていた。ある日、患者の一人が倒れる。水に浸かった状態で足が化膿し、切断する事態となる。
 このままではいけないと、園当局に長靴の支給を要求するが予算が無いと言って断られる。しかし、倉庫に長靴が保管されている事実が発覚し、それを追求することで、洗濯場に働く者全員に長靴が支給されることになる。

 しかし、その要求をした者が園当局への反抗者として、草津の特別病棟、いわゆる重監房へと送られる。
 「無理に沈黙を守っているより、大声で発言した方が楽しい様な気がして来た。もう一度生きているうちに思い切り解放感を味わいたい」
 「俺は覚悟している。只残念な事は、俺たちのこの歪んだ人としての基本的なものを改革する団結の力を、何も持ち合わせていない事だ」

 なんとも酷い現実であり、そんな状態に追い込まれた人間の哀しい叫びが届いてくる。ハンセン病患者の闘いが解決するまでに、幾人の人がこの哀しみを感じながら亡くなっていったことだろうか。人としての尊厳を守るためには、沈黙していてはいけない。

 最後の結末に、展望を見出せなかった作者の哀しみがこもっているように感じる。そこが私には物足りなかったが・・・。

2004-07-25

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