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zoom RSS 『ガリレイの生涯』/ベルトルト・ブレヒト/岩波文庫/「地動説撤回を民衆の視点から弾劾した戯曲」

<<   作成日時 : 2005/10/09 05:36   >>

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 コペルニクス以来の地動説を、天体の観測から裏付けたガリレオ・ガリレイ。ガリレイの名は誰もが知っているし、「それでも地球はまわっている」という言葉は有名である。
 「それでも地球は回っている」とガリレイが言ったというのは作り話という説があるが、私もそうだろうと思う。

 さて、本戯曲は、ブレヒトがナチスドイツから亡命した1938年に初稿が書かれた。「真実を伝える」という使命の問題を考えながら、科学者と政治権力との闘争を主題にしている。

 第1場は、ガリレイがコペルニクスの地動説を立証することの意義について、ガリレオの会話から描かれている。
 「古い時代はおしまいになり、新時代が来ている」「もう百年も前から、人類はどうやら何かを期待している」
 「わが国の町々の改革の好きな人間たちには、新しい天文学が地球まで動かしてしまったことがきっとお気に召すだろう」
 「宇宙は一晩のうちにその中心を失い、朝になってみると無数の中心をもつようになっていた。そこで今ではどんなものも中心と見做され、同時にどんなものも中心ではなくなった」

 国の中心であった王が中心で無くなり、国民誰もが中心に見做される思想である。当時の社会で、このような思想が許されるはずがない。しかし、ガリレオの学説は民衆の中に拡がっていき、いたるところで新しい理論と民衆の平等意識が語られるようになる。1633年6月、ついにガリレイは宗教裁判にかけられる。

 第13場、ガリレイの弟子アンドレオは、ガリレイが自説を撤回しないことを確信し、それが民衆の力になることを信じている。
 「真理を知らないやつはただの馬鹿者だ、だが真理を知りながらそれを虚偽というものは犯罪人だ」
 「暴力は通らない!すべてを押し通せはしないんだ!」
 「人間は、虐げられていたものは、頭をあげて『俺は生きることができるんだ』と言うだろう。たったひとりの人が立ち上がって『否』といっただけで、これだけのことが成しとげられたのだ!」これがアンドレアの想いだった。

 しかし、ガリレイは自説を撤回し、民衆を裏切る。アンドレアは、「英雄のいない国は不幸だ!」と師ガリレイに悪罵を投げつける。
 このあとにガリレイが言った言葉に私は最大の関心と共感を持った。
 「違うぞ、英雄を必要とする国が不幸なんだ」
 不幸な国だからこそ英雄を求める。そのこと事態が不幸だが、そういう過去の時代に登場した英雄はナポレオンやヒトラーであったことも忘れてはならない。

 作者は、「覚書」でこう述べている。「この作品の『主人公』はガリレイではなく、民衆である」「彼の撤回は犯罪行為であったこと、どんな重要な著作によっても、その罪は帳消しにされない」
 作者はガリレイにこう語らせる。「科学の唯一の目的は、人間の生存条件の辛さを軽くすること」であると。

2004-07-19

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