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zoom RSS 『いのちの平等論』/竹内 章郎/岩波書店/

<<   作成日時 : 2005/09/30 05:17   >>

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 著者の本を読むのは、これで2冊目である。その著書は『平等論哲学への道程』、題からも発想できるように、著者は「平等論」を主に研究している。その著者が平等論の観点「生命倫理」に踏み込んだ論文をまとめた。

 脳死、安楽死、出生前診断、遺伝子問題、生命操作など「生命」にかかわる問題が、十分な社会的議論や理解のないもとで具体化されている。著者は、そこに潜む差別と排除の論理を告発する。副題が「現代の優生思想に抗して」とあり、差別を前提とした優生思想の誤りを徹底的に指摘している。

 「いのち」がテーマであるように、「死」「脳死」「障害をもつ人」の論稿に著者の主張が最も凝固しているように見受けられる。
 「脳死」問題では、現在の「脳死」が「人の死」の議論を十分にしないままに、臓器移植を優先した議論になっている現実を告発している。多くの点に共感できる。

 著者は「臓器移植法を通じて、人の死をあてにする社会が、現在の能力主義社会を陵駕する勢いで進行しかねない」という。「脳死」者よりも「臓器移植を待つ人」を優位とする考えに対する告発である。

 かつて柳田邦男著『脳治療革命の朝』のレビューを書いたところ、多くの反響があった。その書には「脳低温療法」という画期的な救急救命の現場と、脳死寸前からの奇跡の生還の実態が描かれている。この画期的な治療法に関する記述は、「脳死」を是とする考えに再考を促す。
 「臓器移植法が1997年まで成立しなかった日本であるからこそ、脳低温療法が開発・実用化され、これが従来の回復不可能点を、はるかに死に近い段階まで高め、事実上臨死状態患者の回復に道を拓いた」との逆説的説明は真であろう。

 著者は、「障害者」の問題と社会の認識、社会環境整備の問題にも論及する。「障害者」と言うとき、そこに差別や優位性が含まれていないか。正しくは「障害をもつ人」であることの説明に説得力を感じた。

 その他、「いのち」「平等」に関する貴重な論稿が数多く含まれ、参考になる論の紹介も多い。
 しかし、「いのち」の始まりをどこに置くかを「社会的・文化的内容が内在せざるをえない」と言った表現だけで留まっているなど、難解かつ納得できない点がいくつか見受けられた。

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