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zoom RSS 『地上生活者 (第2部)』/李 恢成/「一つの選択しかない瞬間」

<<   作成日時 : 2005/09/19 06:08   >>

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 「我輩は朝鮮人である」。この告白をするのに、どれだけ躊躇し、決断をようしたのか。
 高校生として人生を模索する未成年期の愚哲を描きながら、戦後日本の日本人の未熟さをも描く作品となっている。

 島崎藤村の『破戒』の導入が印象的である。「なぜ『丑松』はテキサスに行かなければならなかったんでしょう。ぼくはどうも釈然としない」
 差別に対する被差別者の姿勢はどうあるべきか。人として生きるとは何であるか。一人一人の人間に突きつける重要なテーマとして深く考えた。

 そんな選択を迫った社会とは何なのか。その本質は何なのかを考える必要がある。人としての尊厳が尊重される社会であれば、こんな問題は発生しない。しかし、今も同様の問題が完全には解消していない。
 なぜなのか!その根本問題に迫るものがある。みんなが考えなければならない問題だと思う。

 最終章にこんな会話がある。
「小林多喜二が虐殺された。それは知っているだろ。逮捕されてその日の内に築地警察署だかで命を落としたんだよ。ところである友人がこういうのさ。多喜二はあっこまで抵抗しなければ生きのこったかもしれない。生きのこってたたかう選択もあったんじゃないかってね」
 「しかし、おれはちがうと思った」「人生には、一つの選択しかない瞬間だってあるんじゃないのか、たとえそのために死んじゃうってわかっていても」

 一つの選択をする前に、幾度もの選択を繰り返しているはずである。その選択しつくした最後の道が、一つであった。そこに悔いるものはないはずである。
 多喜二の生き方を「一つの選択しかない瞬間」としてみた著者の視点に共感する。

 論じたい問題は多々ある。レーニンの『国家と革命』による暴力革命の誤りについては、それだけでも一大論文になるかもしれない。『国家と革命』の誤りが、どれだけの悲劇をおこしたことか。
 著者には、暴力革命などという誤りを受け入れなかった人たちのいたことへの視点が不十分である。ここに少し不満の残る作品ではあった。

 それでも、戦後日本とそこに生きる「人間」を描いた作品として注目できる内容である。

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