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zoom RSS 『天皇が来た日』/林田遼子/「戦後数年の日本を描く作品が収録された隠された珠作」

<<   作成日時 : 2005/09/19 06:04   >>

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 戦後無一文で日本に引き揚げてきた家族の貧しさと、日本の社会状態が見事に描かれている。貧しいながらも逞しく生きる人々を描いた短編が詰まっている作品集。

 文体や描写の狭い点など、荒削りな感じが否めないが、磨けば光る珠の予感がする作品集である。
 戦後59年、戦争を経験し、戦後数年を体験した人も高齢期に入りつつある。作者も69歳、終戦が10歳の時である。
 資料や記録から戦争の悲劇を知ってはいるが、生の体験談ほど説得力のあるものはない。戦後世代の私が、実際の体験談触れられなく日もやってくるかも知れない。

 戦中の生活や戦後の貧しい生活を知ることは、今日の社会を知り、そして人間が平和のうえに豊に生きていくために必要なことだと思う。言葉や文章で、いくら無一文で引き揚げた人たちは、さぞかし苦労をしたのだろう、と言っても実感として感じることは難しい。
 小説だからこそ、その主人公に感情移入し、すべてではなくてもそこに生きる仮の体験をすることができる。だからこそ、そんな小説を読むことも必要だ。

 表題作である『天皇が来た日』は、文学作品としては荒削りで、ぐっと作者の心を捉えるという所までは描ききれていない。
 しかし、貧しい生活を強いられる引揚者住宅の地域に天皇が訪問されるというだけで待遇が変わる話は教訓的である。
 板敷きの部屋に畳が入り、30ワットの電球が100ワットの電球に変えられる。普段はいくら貧しくてもほったらかしの生活にこんな変化が現れる。もちろん税金が使われているわけである。
 ところが、天皇の訪問が終わると同時に100ワットになった電球が、すぐ30ワットに変えられてしまう。
 なんなんだ、これは!
 これが政治の実態なのだ!

 作者は、貧しいなかでも精一杯生きる人を描きながら、政治の実態にも焦点を当てている。大事な視点だと思う。
 引き続く活躍を期待したい。

 2004-05-23

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