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zoom RSS 『人類の進化史』埴原 和郎

<<   作成日時 : 2005/08/23 05:18   >>

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 人類の進化の謎はまだまだ多い。最初の霊長類は6500万年前には誕生していたとみられる。しかし、そこからヒトとサルとの分岐がどこにあったのかは、いまだに謎であり、ミッシングリンクとされている。

 本書は、執筆時点での世界的な発見、主な見解を記すとともに、文庫本化の時点で2004年秋の到達点を記している。常に最新の発見を取り入れ、それを積極的に受け入れる著者の姿勢に好感をもった。

 ヒトの進化の図が掲載されているが、そこには確実と思われる進化を実線、不確かな進化を点線で描かれている。ここの注でも「今日では実線部分で示した系統関係も一部再考しなければならない」と記し、最新の発見に基づく再考の必要性を常に心がけている。

 それだけに、断定的な論稿ではなく、今日時点の到達点をわかりやすく描こうとする良書となっている。
 しかも、著者の主張をしっかりと述べている。ここに、本書の意義があるだろう。本書の副題は「20世紀の総括」。20世紀時点の到達点を知りたいならば、本書が良き手引きとなるであろう。

 さて、著者は、「進化」をどう考えるかについての意見もしっかりともっている。「進化」とは「自動的に進む」ものではなく、「必要に迫られて起こるもの」との視点を示す。
 「ヒトの起源以来250万年にもわたって脳がほとんど進化しなかったということは、この期間に脳の進化を必要とする積極的な原因がなかった、と考えるのが正しいのではないだろうか」
 「簡単な道具の作製・使用を超えるレベルの知的能力が要求されたためと考えざるを得ない」という。その原動力は、「言語だっただろう」と主張している。
 ここには、身体と文化という視点が示されている。では、なぜ言語が発達し、文化が身体的進化を促したのか。ここのところの分析は不十分なように感じた。

 ヒトが類的存在として、生きるための労働を共同して行った。そして道具の使用と作製、共同しての労働や共同生活などの要因が「進化」を促した大きな要素ではなかろうか。著者は「文化」と言っているが、この「文化」の内容には、労働形態や共同生活が含まれるであろう。

 それはさておき、著者は、進化を学ぶ意味をこう主張する。「人間は、その現象が望ましくないときは原因となる条件を取り去り、あるいは変更する能力をもっており、それを可能とするのは正しい歴史認識をもつことにほかならない」と。
 まったく同感である。しかるに地球温暖化問題などに見られる利益優先の経済活動はどうか。ヒトの「能力」を発揮しようとしない自分勝手なエゴとして、厳しく批判しなければならない。そして、持続可能な社会を続けることは私たちの責務ではなかろうか。

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