未来 ― 私達の力で歴史を動かそう!

アクセスカウンタ

zoom RSS 『明治維新と西洋文明』田中彰

<<   作成日時 : 2005/08/16 04:42   >>

トラックバック 0 / コメント 0

 明治初年、2年近い欧米視察の旅を続けた「岩倉使節団」。その公的な報告書である『欧米回覧実記』を読み解き、その経験から何を受け止め、何を排除していったのかを浮き彫りにしようとする力作。

 岩倉具視を中心に木戸孝允、大久保利通、伊藤博文などの使節団。明治維新以後の政府の一員として著名な各人である。この使節団が何を見てきたのか。

 『欧米回覧実記』原本を見たわけではないが、本書を読んだだけでも、多岐にわたる見聞、視察をしたことがわかる。
 ホテル・ビル・下水道、道路や鉄道・運河、明治初年の日本には無い近代化。資本主義のシステムや政治、教育、科学と文化。本当に多岐にわたる。

 本書は、これらの視察の結果、日本政府が行ったこと、排除したことを描くことによって、使節団の報告とその後の日本を描いている。
 多くの点で鋭い洞察力を発揮し、その指摘に共感する。

 とくに、ジャーナリズムの役割に対する問題意識には学ぶものがある。『実記』は、「新聞人には大統領とも雌雄を争うような人物が出る、と断言して憚らない」。その「筆鋒の勢力は、百万の兵にすぐ」と指摘する。
 そして、使節団帰国後、「新聞や言論の自由など」「つぎつぎに手をうった」と分析。新聞や言論の自由の力を知った政府は、いち早く新聞・言論の自由を奪ったのである。

 言論の自由の奪われたところに民主主義はない。ここに近代日本が戦争の道に踏み出すにあたっての出発ともいえる問題点があるのではないだろうか。

 本書はまた、『実記』と同じく西欧に学んだ福沢諭吉、中江兆民との比較をしている。それなりに有効な論点であり、東洋のルソーといわれた中江兆民との比較には妥当性を感じた。

 しかし、福沢諭吉を徹底した平等主義者だったと描く視点には納得できない。たしかに福沢諭吉は『学問のすすめ』の中で平等をうたった。だが、徹底した平等主義者であったのか。
 このことを除いては、学ぶことの多い書であった。

2004-04-21

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
『明治維新と西洋文明』田中彰 未来 ― 私達の力で歴史を動かそう!/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる