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zoom RSS 『生きている兵隊』/石川 達三/中央公論新社/「生誕100年に最も注目される作品」

<<   作成日時 : 2005/07/03 12:36   >>

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 石川達三生誕100年の今年、『生きている兵隊』が注目されている。

 かつては、反戦小説か、そうではないのかが注目され、賛否評論があったようである。しかし、この小説のもつ価値は反戦かどうかに集約できない。
 それは、この小説がいかに戦争と戦場と兵の心理をリアルに描いたかにあるだろう。南京虐殺を直接描いているわけではないが、南京占領に近づくまでに兵士がいかに虐殺を平気になっていくかの心理的過程が描かれている。
 人間性が失われ、人の命を軽視し、人を殺害したことを自慢話にする兵士になる心理状態。そうした心理状態になるまでに幾多の死人を踏み越え、あるいは人を殺していく過程が綿密に描かれている。

 解説に、昭和14年2月に作成された陸軍省秘密文書が引用されている。
 「戦闘中一番嬉しいものは掠奪で、上官も第一線では見ても知らぬ振りをするから、思う存分掠奪するものもあった」
 「ある中隊長は『余り問題が起こらぬように金をやるか、又は用をすましたら後は分からぬように殺しておくようにしろ』と暗に強姦を教えていた」
 「戦争に参加した軍人をいちいち調べたら、皆殺人強盗強姦の犯罪者ばかりだろう」

 陸軍省自身が分析した実態を、石川達三はリアルに小説にしたのである。リアルであったがゆえに、発行禁止どころか実刑を受けた。
 最近の発見資料からも、『生きている兵隊』のリアルさが立証されている。

 戦争は、人間を変えてしまう。それが戦争である。戦争と人間をリアルに見つめた本作品は、読み直されてしかるべきだろう。特に今の状況には。

2005-06-10

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読めば虚空を想わせる
  石川達三の書物は、父の本棚にうずたかく詰まれており、学生時分に読み綴った作家の、ひとりです。この今では世間の耳目にのぼりにくい作家であろう、と想われる小説家の作で、僕が真摯に気持ちを傾けて読み綴った作と申せば、『生きている兵隊』。一括りの戦争小説とい ...続きを見る
KAORU BOMBAYE-ALL FO...
2005/07/27 20:51

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