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zoom RSS 『千々にくだけて』リービ・英雄

<<   作成日時 : 2005/07/16 13:14   >>

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 帯に「9・11を描く初の日本文学」とあり、迷わず購入した。心の中では「初?」と疑問を感じていた。山田詠美『PAY DAY!!!』で9・11が書かれているではないかと。

 さて、著者はアメリカ人日本文学作家。本書の書名「千々にくだけて」は、松尾芭蕉の「まつしまや、しまじまや、ちぢにくだけて、なつのうみ」からの引用である。日本文学作家としてのこだわりなのだろうが、本小説の内容と噛み合っているとは思えない。こだわり過ぎではなかろうか。

 9・11当日、カナダ経由でアメリカに向かっていたエドワード。カナダ到着前に、機内放送で「アメリカ合衆国は、被害者となった」と聞かされるが、その詳しい事件内容は告げられない。
 アメリカへの入出国が封鎖され、カナダに足止めされる。そのカナダでセンタービルに飛行機が突撃する映像を見ることになる。

 日本文学作家にあくまでもこだわり続けるため、「徳川時代の鎖国」なんて言葉が飛び出すなど、不自然なこだわりが目に付いて仕方がないが・・・。

 アメリカの母を訪ね、妹たちとのパーティーが予定されていたが、結局アメリカ行きを断念し、東京に引き返す。このカナダ滞在中のエドワードとアメリカ在住の母との電話によって、アメリカの状況が伝わってくる。
 母は、「わたくしたちは気づいている以上に嫌われている」とつぶやく。テロの原因がアメリカ側にもあることをうかがわせる。

 「朝から晩までサイレンが鳴りっぱなしで、ファントム戦闘機が空に飛び交っている」ニューヨーク。ニューヨークにいる母は「こんなニューヨークには来ない方がいい」という。

 9・11テロ直後の市民の感情等が少しずつ描かれている。しかし、「異国とのからみごとはさけるべし」という言葉で9・11を直視することを避ける小説になってしまっている。

 著者の9・11テロ後のアメリカは、何も変わっていない、となっている。果たしてそうだろうか。
 たしかに総体としてみれば、そうかも知れないが、個々に見れば変化がある。そのことを語らず、9・11を語るのは限界がある。
 一人の作家が体験した狭い範囲の9・11しか描けていないところに不満を感じる。

2005-06-18

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