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zoom RSS 『小林多喜二伝』/倉田稔/論創社/「人間・多喜二を描く伝記」

<<   作成日時 : 2005/06/08 05:55   >>

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 知人・友人の証言をあつめ多喜二の全体像にせまる小林多喜二伝、というだけあって900ページに及ぶ伝記である。

 多喜二の伝記でもっとも優れていると言われるのが、手塚英孝「小林多喜二」である。本書は小樽時代の多喜二の補足、そして手塚伝記の誤りを指摘しながら、手塚が書かなかった小林多喜二像を描いている。
 また小樽高商で下級生であった伊藤整の「若い詩人の肖像」から多くを引用し、伊藤整の誤りをも多く指摘している。

 多喜二の人がらを多彩な証言から浮き彫りにしながら、多喜二がどのようにプロレタリア文学の道に進むようになったのかを綿密な調査で追跡している。
 多喜二の代表作は「蟹工船」といわれるが、「一九二八年三月一五日」がやはり多喜二の新しい出発作である。この執筆前後の調査は、多喜二の思想と人間像を明らかにしている。

 多喜二への特高警察の拷問の酷さは、死体の写真が物語っているが、その写真さえ戦中は発表することもできず、見つかれば没収されるため隠され続けてきた。多喜二の死体について語る証言は、目をそむけたくなるほど酷いものである。

 明治維新から戦後、民主主義の実現のために生きた人々がいたこと、いくたの犠牲があったことを忘れてはならない。憲法改憲により平和と人権を奪おうとする策動が強まるもと、真の民主主義を築くためのさらなる運動が必要であろう。

2003-12-31 REVIEW JAPAN 投稿
小林多喜二伝
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