未来 ― 私達の力で歴史を動かそう!

アクセスカウンタ

zoom RSS 『福沢諭吉と中江兆民』/松永昌三/中央公論新社/「弱肉強食主義と民本主義」

<<   作成日時 : 2005/05/24 05:55   >>

トラックバック 0 / コメント 1

 表題を見たとき、なんという組み合わせだろうと感じた。まるで正反対の人間をテーマにしていることに違和感さえ覚えた。

 福沢諭吉と中江兆民はともに1901年に生涯を終えた。ただそれだけの理由でテーマにしたのか。ますます疑問は深まるばかりであった。しかし、読み進めていくうちに、その謎は自然に解けた。
 二人は、ともに西洋の思想を日本に普及した功績をもっている。しかし、その思想をどう吸収し、どう活かしたかが正反対であった。本書は、維新以降の日本の政治のあり方が、どうして間違った方向に進んだのかを、この二人の思想を比べることで明らかにしたかったのではないか。

 あとがきに「二十世紀は戦争と破壊の時代であった。同時に科学技術の急速な進歩と生産力の急激な拡大がみられた。後者は、人類に未曾有の繁栄をもたらしたかにみえるが、その背後に大いなる悲惨と貧困を横たえつつ、きわめて深刻な状況をつくり出している」「文明を進めた結果でもある」として。
 「現代文明の危機は深刻である。近代文明の導入時に文明のあり方について深く考えた福沢諭吉と中江兆民の思想の中に、この危機を克服する何らかの道筋を見つけることできないものであろうか」と述べている。

 福沢諭吉を美化する風潮は未だに健在である。私は彼の功績を全く否定するものではないが、やはりその思想の害悪を憎まずにはいられない。
 福沢諭吉は、文明は善であり、正義であるとする。文明の劣る国は侵略されてもしかたがない。そんな思想を宣伝し、政府の侵略主義を推進した人物である。本書には詳しく記されていないが、福沢諭吉の弱者蔑視の思想はひどいものであった。
 一方、中江兆民の民本主義は徹底しており、人間の平等性を訴え続けたことは有名である。

 本書は、二人の経歴の分析から、文明をどう捉え、侵略をどう捉えていたか、戦前の日本の進路にも関わる重要な点での分析もされている。
 著者のあとがきの一部を紹介したが、21世紀を考える上で、ひとつの考察として参考になるだろう。

2003-11-02 REVIEW JAPAN 投稿

 平山洋著『福沢諭吉の真実』は、福沢諭吉は侵略戦争を推進する論稿は書いていないとの視点を詳しく解明している。参考にすべき書である。2005.5.24

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
『福沢諭吉の真実』の作者です。拙著に言及くださりありがとうございました。松永氏の『福沢諭吉と中江兆民』は、兆民については松永氏のオリジナルな研究に依拠しているのに対し、福沢については、主に遠山茂樹氏の『福沢諭吉』(1970年、東大出版会)の影響下にあるように見受けられました。この遠山本は、石河幹明の『福沢諭吉』(1935年)を事実上の下敷きとしており、石河執筆の無署名論説を無制限に援用することで福沢の侵略性を証明しています。その延長上にある松永本における兆民と福沢の比較は、実際には兆民と石河の比較にすぎないと理解しております。
平山 洋
2005/05/27 09:29

コメントする help

ニックネーム
本 文
『福沢諭吉と中江兆民』/松永昌三/中央公論新社/「弱肉強食主義と民本主義」 未来 ― 私達の力で歴史を動かそう!/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる