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zoom RSS 『白樺たちの大正』/関川夏央/文藝春秋/「ユートピア村では現実を変えることはできない」

<<   作成日時 : 2005/05/15 18:07   >>

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 武者小路実篤を中心に作られた「新しい村」の行方と、その時代と文学を描いた作品。武者小路実篤、志賀直哉、有島武郎などなど、多彩な作家のエピソードなども描かれている。

 明治末から幸徳秋水などにより、日本にも社会主義思想が影響をもちはじめ、大正の青年たちは生活改造の夢を様々な形で追い求めようとした。その中で、武者小路実篤ら人道主義者によって作られたのが「新しき村」である。

 「新しき村というのは、一言でいえば皆が協力して共産的に生活し、そして各自の天職を全うしようというのだ。皆がつまり兄弟のようになってお互いが助けあって、自己を完成するようにつとめるのだ」
 この同人雑誌「白樺」への武者小路実篤の呼びかけに、百人あまりが賛同の手紙を寄せたという。

 しかし、荒畑寒村は「あれは大の男の共存村ではなくて、お坊ちゃん方の共存ごっこ」と評し、有島武郎はこの企てを壮とするが「失敗を望む」と書いた。冷静に考えれば、この企てが成功しないことは明らかだったのである。この村構想には、現実との関連から離脱したところに非現実性があった。

 武者小路実篤やトルストイ、人道主義文学に共感を覚え、文学をむさぼり読んだ青年時代。数年後には、人道主義では社会の矛盾を解決することはできないと考えた、私自身の思想遍歴を思い出した。
 時代の推移のなかで、人道主義文学の果たした役割は否定できないと思う。しかし、人道主義では人間解放の具体的方法とはならないことも、歴史のあかすところである。

 ユートピアから現実的解決へ、その実現が求められている。夢をもつこと自体は大事だと思う。その夢を、現実の中で模索し、現実を改造するにはどうすればいいのか。そのことが問われているだろう。

2003-08-27 REVIEW JAPAN 投稿

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