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zoom RSS 『景気とは何だろうか』/山家悠紀夫/岩波新書/「いっこうに暮らしがよくならないのはなぜ?」

<<   作成日時 : 2005/05/14 14:22   >>

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 景気とは何かを考えながら、暮らしの視点から重要な提起をしている。いま景気とは無関係に、私たちの暮らしは苦しくなっている。
 史上最高の収益をあげ続けているトヨタ、ところがリストラとベアゼロなど、私たちの賃金は減る一方。おまけに社会保障に関する掛け金は上がり続け、支出は増える一方。なぜ、こんなことになるのか。

 著者は、不況は、資本主義の本質から起こるものとして、景気を説明する。そして景気の循環のいくつかの説をとりあげ自らの意見を説く。
 これだけの本なら、読む価値は少ないだろう。だが、本書は景気に及ぼす最近の政府の失策を具体的に指摘する。景気が浮上しかけた時に、政府の失政が不況を長引かせる原因になっている。

 その典型的な例が、1996年に発足した橋本内閣がおこなった「六大改革」。そのうち「財政構造改革」と「社会保障制度改革」が景気を後退させ、深刻化させたと説く。まったく同感である。
 著者によると政府の原因で景気を後退させたのは、戦後日本の景気循環では初めてのもとという。
 そして小泉内閣の「構造改革」が再び、景気の後退を招いたとして、とくに不良債権処理の問題点を指摘する。わかりやすい説明におもわず納得してしまう。

 もっとも共感できたのは、暮らしの視点から提起である。法人税率の引き上げ、消費税の引き下げなどの税制を利用して、「企業収益の増加を雇用者所得の増加へと政府の力で移転させる方法」が有効である。
 また、労働時間の短縮がもっとも効果があると指摘する。まったく同感である。それ以外にも、社会保障の問題など貴重な問題提起を展開している。

 「今の経済力をもってすれば、すべての人に必要最低限かそれ以上のものは行きわたるのだが、残念ながら分配の仕組みはそうなっていない」
 「現実を正しく捉えることは、現実を望ましいと思われる方向に変えていくための第一歩である」
 その現実を捉えるために、本書の視点は参考になるのではなかろうか。資本主義の本質の問題に踏み込んでいないという限界はあるが、一読をお薦めしたい書である。

2005-04-16 REVIEW JAPAN 投稿

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